コラム

社員がiDeCoへ加入!会社に求められる手続きとは?

増加するiDeCoの加入者

きっかけとなった2017年の法改正とは?

個人型確定拠出年金(以下、iDeCo)の加入者は2020年1月末時点で149万人となっています。(出所:確定拠出年金の施行状況 令和2年1月31日現在 厚生労働省HP)

加入者増加のきっかけとなったのが2017年1月の法改正。公務員や専業主婦が新たに加入対象となり、iDeCoの広報活動も促進され、金融機関がiDeCoへの加入を勧める動きへとつながりました。

 

背景にある「働き方の多様化」

改正の背景には、確定拠出年金制度の普及、制度運用の改善のほか「ライフコースの多様化への対応」があります。転職が当たり前になり、会社員・フリーランス・専業主婦(主夫)等をさまざまなライフコースをたどる中でも、iDeCoを通じて継続した老後資産形成ができるように改正されたということです。

専業主婦・公務員も含めたすべての現役世代が加入できるように改正され、加入する年金制度に応じた限度額が定められています。

専業主婦(主夫)等や自営業の人が加入する際は個人での手続きで完結するのですが、会社員や公務員がiDeCoに加入する際には勤め先の会社の協力が必要になります。社員がiDeCoへの加入する際、会社に求められる手続きとはどのようなものなのでしょうか?

 


会社に求められる協力

なぜ対応する必要があるのか

会社の担当者によっては「社員の個人的な資産形成になぜ会社が協力しなければいけないのか?」「会社の退職金制度ではないのになぜ手続きが必要なの?」と感じるかもしれません。対応をする必要性には法的な根拠があり、社員がiDeCoに加入にするにあたって会社が手続きに協力することは確定拠出年金法に定められています。

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(個人型年金についての事業主の協力等)

第七十八条 厚生年金適用事業所の事業主は、当該厚生年金適用事業所に使用される者が個人型年金加入者である場合には、当該個人型年金加入者に対し、必要な協力をするとともに、法令及び個人型年金規約が遵守されるよう指導等に努めなければならない。

2 前項の場合において、国は、厚生年金適用事業所の事業主に対し、必要な指導及び助言を行うことができる。

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社員からの加入申し出があったらすぐ手続きに対応できるよう、根拠法や手続き概要について事前に確認して準備しておくことが大切です。

高まる老後資産形成のニーズ

転職が一般的になったことにより、まとまった金額の退職金を受け取ることができる社員は減っていくと予想され、さらに少子高齢化によって公的年金の給付水準が下がることも見込まれています。社員の老後資産形成ニーズは高まっていますので「法律上求められているから対応する」というだけではなく、福利厚生の一環として会社が積極的にiDeCoへの加入を勧めるケースも少なくありません。
要件を満たした中小企業であれば「iDeCo+(イデコプラス)」といって、社員の掛金に追加して会社が掛金をかけるという制度もあります。特に退職金制度のない会社などは社員の加入をきっかけに検討してみるのもよいでしょう。


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会社における手続きの概要

ここからは、具体的に会社がおこなう5つの手続きについて説明します。

1.事業主の証明書の発行

社員がiDeCoに加入するときには、「事業主の証明書」が必要になります。事業主の証明書は、iDeCoへの加入を希望する社員から会社に提出され、会社が必要事項を記載して社員に交付し、社員から加入するiDeCoの運営管理機関あてに提出されます。iDeCoは「掛金の額が全額所得控除・運用益が非課税・退職時は加入期間に応じた退職所得控除が使える」といった税制優遇が受けられます。事業主の証明書の添付がないと社員はiDeCoへの加入ができないため、手続きの遅れにより加入できなかった期間が発生すると社員にとっては不利益になってしまいます。できるだけ速やかに対応しましょう。

事業主の証明書 正式には「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」といい、会社で初めて加入する社員が提出すると事業所の登録がされます。(出所:iDeCo公式サイト)

2.現況届の提出

登録事業所となった会社は毎年1回「現況届」を提出します。現況届は社員経由ではなく事業主に直接郵送で届きますので、企業年金制度への加入状況や社員の在籍状況といった事項を記載して返送します。現況届の手続きが遅れてしまったり、誤った内容での届出をしたりすると該当する社員の掛金の引落が停止してしまうこともあるので注意しましょう。

3.各種変更手続き

会社の名称や住所が変わったときなども届出が必要になります。この場合は会社が運営管理機関に連絡をして書類を取り寄せる必要があります。また、加入している社員において変更事項があった場合は手続きを案内し、必要に応じて事業主の証明への記入・押印等を行います。主な変更事項は以下の通りです。

4.年末調整

iDeCoの掛金は「個人払込」にしているケースが多いかと思います。その場合は社員宛に送られてくる「小規模企業共済等掛金払込証明書」という控除証明のハガキを年末調整の書類に添付して年末調整の際に控除の処理をします。iDeCoの掛金は全額所得控除となり税額への影響も大きいので、登録事業所である会社は年末調整の際に提出漏れのないように案内をするとよいでしょう。

なお、掛金を「事業主払込」にしている場合は、毎月の給与計算のときにiDeCoの掛金額も社会保険料控除と同様に控除したうえで給与等の源泉徴収税額を算出することになります。

5.掛金の納付(事業主払込を選択している場合のみ)

iDeCoの掛金は社員が個人で払い込む「個人払込」と会社が給与から天引きをして払い込む「事業主払込」の2通りがあります。どちらにするかは加入する社員の希望に合わせるのが望ましいですが、事業主払込を行う体制が整っていないなど対応ができないときは、その理由を記載することで個人払込にすることができます。

事業主払込を選択した場合は、国民年金基金連合会から会社あてに掛金の通知書が送られてきますので、記載された掛金を対象の社員の給与から天引きして毎月26日に納付します。基本的には月単位で同じ金額の掛金を天引きしますが、現在は法改正により年単位の拠出をすることもできるようになっています。この場合、個人ごとに設定した年間計画に沿って給与天引き・納付の実務を行うことに。確定拠出年金の加入者増加に伴ってiDeCoに加入する社員が増えることも見据え、掛金の納付方法の決定は慎重に行うべきでしょう。

 ※手続きの詳細、および最新情報はiDeCo公式サイトをご参照ください。→iDeCo公式サイト「事業主の方へ」

 


おわりに

確定拠出年金は企業型・個人型ともに加入者が増えているため、社員から「iDeCoに加入をしたい」という申し出が来ることも増えていくと考えられます。実務上の手間は増えますが、社員の資産形成を支援することは福利厚生の面においても大切なこと。iDeCoの加入をつうじて資産形成のニーズを拾い、福利厚生施策を充実させることで採用や定着にもつなげていきたいですね。

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